解説
「日高線と生きる」(2021年) 北海道の太平洋岸を走る日高線は、全長146㌔。苫小牧と様似を結んでおり、様似からバスで向かう襟裳岬まで、1960年代には、大勢の観光客で賑わった。 海岸線ギリギリを走り、波しぶきが列車にかかり、軽種馬育成の牧場を横目に走り、太平洋に沈む夕陽のすばらしさは特色となっていた。 2015年1月8日の高波被害により、大狩部駅付近の土砂が流出、線路が宙に舞った。 これまでも海浜の脱落や気候変動の影響を受けてきたが、その都度復旧された。が今回は違った。その後台風被害で、更に鉄橋の線路が流された。 そして国、JR北海道、北海道は、日高線を見限ったのだ。 2021年4月1日、日高線が廃線となり、バス転換となった。 2019年12月から撮影を開始、コロナ禍により数か月の中断を経て、 2021年10月に完成。 この映画では、 ①なぜ災害復旧ができず、日高線が廃線となったのか?その経緯と要因 ②廃線後の鉄路の利用を目指す人々の動きを伝え、今後廃線に晒される全国の皆さんへメッセージを送る ③北海道・日高地方に暮らす人々の営みを描くコンブ漁師、軽種馬(競走馬)の育成、夏イチゴ栽培農家、馬を育て市場へ送りだす静内農業高校馬術部、日高線の「想い出」を描いた浦河高校美術部ら高校生の皆さんの活動と思いを伝えます。 ぜひこの映画を通じて、全国で廃線に晒され、地域で鉄路維持に奔走されて いる方、鉄道ファンの皆さんにメッセージが届くことを願っています。
詳細
初公開:2021年/日本
スタッフ・キャスト
語り:円地晶子/神林茂典
撮影:稲塚秀孝/杉浦憲太郎
音楽:熊通 高歓
音響:伊豊宇
デザイン:佐藤稔理/大館岳史
題字:押見栞奈
写真提供:番匠克久
監督・プロデュース:稲塚秀孝